ラボ契約とは

 オフショア開発における契約形態のひとつで、ある一定期間(半年間あるいは1年間程度)で発注する仕事量の最低保証を行う契約です。これにより発注者側は、優秀な人材を安定的に確保し、ノウハウを蓄積することが可能となります。言わば、人材の囲い込みです。しかしその反面、仕事がない場合でも最低保証分の発注を行なわなければならないというリスクを抱えます。

 ラボ契約は、一見すると工数契約ですが、予め決めた工数(最低保証分+α)内で、個々の案件の対応を行い、各案件は、請負責任を負った請負契約を行なうものです。したがって、通常の工数契約、SE契約とは考え方が異なります。

 また、契約工数の考え方ですが、契約する工数と最低保証工数は、通常等しくありません。具体例で示します。

 発注者A社は、パートナーX社とラボ契約15名体制を契約しました。このうち最低保証工数は、10名分としました。この場合、通常は、15名分相当の仕事を発注しますが、万一、仕事がない場合でも、10名分の仕事量に相当する発注を保証するということになります。

 上記の方式は、法律で決まっているわけではありませんので、各社の事情で個別に調整し、受発注者双方が合意した契約内容にすることが必要となります。

 発注者側から見たラボ契約のメリット、デメリットについて、もう少し詳しく解説します。

 

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ラボ契約のメリット

優秀な人材(特にリーダー)を確保できます!

 通常の契約形態では、継続的に取引を行わない限り、せっかく確保した優秀な人材(特にリーダー)を確保できる保証がありません。具体的には下記のような事例です。

「日本企業A社は、ある案件で中国パートナーX社と取引し、X社の優秀なリーダーα氏の確保により、プロジェクトが成功裏に完了した。A社は、その1ヶ月後、新たな案件を持って、X社に打診をしたが、リーダーα氏は、既に他社B社のプロジェクトに参画しており、他のリーダーをアサインしなくてはならなくなった。」

といった事例です。

 ラボ契約では、こういった事態に陥ることを契約で防止することが可能となります。

ノウハウを蓄積しやすくなります!

 ラボ契約は、言わば、最低保証分の発注を保証する見返りに、リーダー並びにメンバを固定化することが可能となり、発注者にとっては、ノウハウの蓄積を行いやすい開発体制を構築することができます。

仕様変更等、臨機応変、柔軟な対応を行いやすくなります!

 日本市場に目を向けた中国ソフトウェア企業は、開発途上の仕様変更の発生は言わば当然のものと認識しており、比較的柔軟かつ臨機応変に対応してくれるパートナーが多いですが、あまりに仕様変更が頻発したり、超短納期対応、スポット案件の場合、通常取引、通常契約では、調整が難しいことがあり得ます。

 ラボ契約では、言わば、ある一定の工数契約を行う形ですので、その工数内で臨機応変に対応しやすくなるというメリットがあります。

機密性の高い案件も発注しやすくなります。

 ラボ契約を行うと、言わば中期的な発注計画を立案することに等しくなり、たとえばパートナー側に、発注者固有のフロア、他とは隔絶した開発環境の確保が行いやすくなります。言わば、パートナーX社の中に発注者A社の開発センターを設置するイメージです。これにより、機密性の高い案件も発注しやすくなります。

 ここで注意しなくてはならないことが一点あります。これらは、パートナーとの充分な信頼関係が構築できている場合に限り、享受できるメリットであることを、くれぐれも忘れてはなりません。

ラボ契約のデメリット

仕事がなくても、ある一定量の発注を行わなければならないというリスクが生じます。

 ラボ契約を行う場合、発注者としては、例え発注する仕事がない場合でも最低保証分の費用が発生してしまいますので、会社として、組織として、きちんとした発注計画を立案し、これに基づく発注を行っていくことが必須となります。

 したがって、企業として、ある一定領域のソフトウェア開発を中国にシフトする等、明確な方針に基づき、運用することが非常に重要となってきます。

充分な信頼関係がないと構成する人材の質を落とされてしまうリスクが生じます。

 ラボ契約は、受注者側にとっては、言わば、受注を保証された契約ですので、充分な信頼関係がない場合、何らかの理由で構成要員の質を意図的に落とす、言わば品質低下に繋がるリスクがあります。

 したがって、過去の充分なパートナーシップ、信頼関係を前提にした契約形態とも言えます。こういったリスクは、契約の方法で、ある程度カバーできますが、やはり、その前提は、充分な信頼関係の上に成り立つものではないかと考えます。

運用を誤ると、緊張感の不足した取引になってしまうリスクが生じます。

 受注者側にとって、ラボ契約は、通常の契約と比較し、ある一定量の受注が保証されているため、どうしても緊張感が落ちてしまう可能性があります。通常の取引では、「万一、失敗した場合、次回の発注はなくなる」という緊張感を常に持ちながら開発業務を行うため、これと比較し、ラボ契約は、若干緊張感が不足してしまうリスクが生じます。

 したがって、運用面、契約面でこういったリスクを最小限に食い止める工夫が必要です。

ラボ契約の運用

 上述の通り、ラボ契約には、様々なメリットがある反面、その運用を誤ると大きな失敗に結びつくリスクも多く潜んでいます。したがって、ラボ契約を採用する場合は、その契約方法への正しい理解とリスクを最小限にする適切な運用、契約を行うことが重要です。

 さらにもっと重要なことは、何度も繰り返しますが、パートナーとの充分な信頼関係の上に成り立つ取引方法であることを決して忘れてはならないと考えます。

 

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